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2018/08/15

教育ICTの導入メリットと普及に向けての課題

政府は、教育現場へのICT導入を推進していますが、どのような意図によるものでしょう。また教育ICTを導入したときに得られるメリットは何があるのでしょうか。教育ICTの普及を推進していくために解決しなければならないことも含め、見ていきましょう。

教育ICTを政府が推進するのはなぜか?

政府が教育ICTの導入を推進する目的として、児童生徒に対しては多様な学びの提供を通じた学習意欲の向上、主体的な情報利活用能力の育成、教員に向けては校務の効率化による多忙の解消、教育活動の質の向上といったものが挙げられています。

また、韓国やシンガポールなどの諸外国が国家プロジェクトとして教育分野でのICT活用を推進しており、日本においてもグローバルな競争のなか、人材育成面で後れをとらないために、その必要性が高まっている側面もあります。

こうした背景を踏まえ、総務省は2010年から2013年度にかけて「フューチャースクール推進事業」を実施しました。これは教育現場のICT導入における課題の抽出と分析を目的として行われ、その結果は「教育分野におけるICT利活用推進のための情報通信技術面に関するガイドライン」として、今後ICTを導入する現場の指針となるようにまとめられています。

日本におけるICT利活用や導入計画立案の現状

日本におけるICTの利活用の現状をデータからひもときます。2009年3月発行の「ICT 関連動向の国際比較及び国内外のICT利活用先進事例調査報告書」(総務省 情報通信国際戦略局 情報通信政策課 情報通信経済室)によると、「ICT利活用ランキング 教育・人材分野」では、日本は最下位で17.4%。これは、日本・韓国・シンガポール・アメリカ・デンマーク・イギリス・スウェーデンの7カ国で比べたもので、最上位のシンガポールは約60%以上となっています。

eラーニングやICT活用教育の導入推進計画に関する立案の状況から見てみましょう。2014年3月発行の「高等教育機関等におけるICTの利活用に関する調査研究」(京都大学)では、同計画が組織レベルで立案されているかという質問に対し、「立案されていない」と回答したのが、大学で51.2%、短期大学で71.3%だったのです。高等専門学校では12.5%と低い数値でしたが、全体的に見てもまだ進んでいないということが分かります。

利活用の面と計画立案の面、双方で日本の教育現場におけるICTの活用は遅れています。そのため、政府が主導してICT導入を推進する動きが進んでいるのです。

教育ICTの導入で得られるメリット

教育ICTの導入で考えられるメリットを見ていきます。

例えば、教育現場において教員が授業準備や事務処理に追われているとされる現状。教育ICTによって教材を生徒個々の端末に共有できれば、作業の負荷が軽減されます。また、テストもオンライン上で回答するシステムを導入すれば、採点業務も効率化できるでしょう。こうした作業に充てていた時間を指導方法の研究に使えますから、結果的に指導水準が向上すると考えられます。

また、社会科で地域について学ぶ際、特色や産業などについては、その場所に行かなければ詳しく分からないこともあります。遠隔地であれば、移動する時間や費用がかかってしまいますが、教育ICTを利用すれば、当該地域から映像資料を共有してもらうことが可能です。ビデオ会議のような形で教室と現地をつなぐことができれば、説明と質問の双方向のやり取りが可能になります。教育ICTの普及によって、教材や教員からの一方的な授業から、多様な学習が可能になるのです。学習する生徒においては、授業内容への興味や関心が高まり、自発的な学習意欲の向上が期待できます。

教育ICTの普及を推進するための課題とは

教育ICTには前述のようなメリットがありますが、普及に向けてはクリアすべき課題があります。

例えば、教員側のITリテラシーを向上させること。教員が端末を使いこなせなければ、生徒たちへの指導もままならず、教育ICTが普及しても授業のなかで活用できません。また、教育現場では個人情報を多く扱うため、セキュリティリスクにどう対応していくかも課題です。

また、生徒のITリテラシーも課題のひとつ。生徒にITリテラシーが不足していた場合、教員からの連絡を確認することができない、あるいは教材を使いこなせないという状況が想定されます。ITリテラシーの格差がそのまま学力格差にならないように配慮しなければならないでしょう。教員と生徒、双方にある課題をクリアすることが、教育ICTのさらなる普及につながります。

 

 

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