コラム

コンピテンシーとは?企業人事に注目される理由と活用時の注意点

優秀な人材の採用および育成の両面において、多くの企業人事から注目を集めている「コンピテンシー」とは何か。注目される理由と策定方法、注意点について紹介しましょう。

コンピテンシーとは

コンピテンシーとは「仕事ができる人(好成績を収める人)に共通する行動の特性」を表した言葉。業務に直結する行動だけでなく、話し方や考え方などもコンピテンシーのひとつです。

もともと米ハーバード大学の研究調査によって生まれた概念で、近年、優秀な人材の採用や育成・人事評価に取り入れる企業が増加。しかし、コンピテンシーの内容は職種や業種、役割などによって異なるため、企業ごとに「自社にとってのコンピテンシーは何か」を調査する必要があるのです。

コンピテンシーの調査によって生まれた「理想の人物像」をコンピテンシーモデルと呼びます。

コンピテンシーが注目される3つの理由

コンピテンシーが多くの企業人事に注目されている主な理由として以下の3つが挙げられます。

面接段階で優秀な人材なのかが判断できる

例えば「商品説明が明確でわかりやすい」というコンピテンシーがあった場合、面接で説明力をチェックすることができれば、自社にとっての優秀な人材を見つけやすくなるでしょう。これをコンピテンシー採用といいます。

客観的に評価しやすい

コンピテンシーを項目立てて明文化できれば、客観的な評価指標として利用できます。結果、担当者がだれであっても優秀な人材かどうかを客観的に評価することができるでしょう。

キャリア開発などの人材育成に有効

人材育成のカリキュラムに導入すると、より高い確率で優秀な人材を育成できます。例えば自社のコンピテンシーのひとつが「課題解決力が高い」だった場合、カリキュラムに反映すればコンピテンシーを満たした人材を育成しやすくなるでしょう。

また役職ごとのコンピテンシーを各段階の育成内容に加えることで、キャリアプランのマネジメントがしやすいというメリットも。例えば、昇格評価基準に部長クラスのコンピテンシーを盛り込むと、優秀な人材のみを昇格させることができます。

2つの手法からなるコンピテンシーモデルの策定

コンピテンシーモデルを策定する方法は2つあります。

本人や周囲へのアンケート

社内の好成績者にアンケートをとり、要件を抽出する方法です。本人へのアンケートのため、より精度の高いコンピテンシーモデルが策定できます。アンケートは「冷静さ」「親密性」など、項目をある程度羅列するとよいでしょう。
精度を高めるなら、「好成績者の上司や同僚などから行動や様子などを聞く」という手法がおすすめです。客観的な目線から、本人が気づいていないコンピテンシーが抽出できます。

観察により行動を分析

好成績者の行動を観察し、コンピテンシーを抽出する方法です。アンケートに比べて、より客観的にコンピテンシーを抽出することができますが、人手や時間がかかるという欠点があります。

活用できるコンピテンシーモデルを作るには

しかし、精度の低いコンピテンシーばかりが集まったり、採用や育成・人事評価に使えなかったりするおそれもあります。活用できるコンピテンシーモデルを作るためにも、下記の点に注意しましょう。

自社に合うコンピテンシーモデルが必要

コンピテンシーモデルは企業ごとに異なるため、それぞれに合ったものを策定する必要があります。他社のものを流用しても高い成果は望めません。自社で好成績者にアンケートを行ったり行動分析したりして、自社のコンピテンシーを正しく抽出しましょう。

抽出や策定に時間がかかる

コンピテンシーの抽出や、それを反映した採用・人事評価プログラムを策定するためには、ある程度時間が必要です。そのため早い段階から計画を練ることが大切でしょう。

定期的に更新する必要がある

コンピテンシーは状況によって変化するため、5年後には内容が変わる場合も。定期的に項目や内容を更新して、現状に即したコンピテンシーを取り入れる必要があります。特に企業の体制や景気・情勢などが大きく変わったときは見直したほうがよいでしょう。

上手に活用することで人材の採用と育成が可能

コンピテンシーは自社で優秀な人材を採用・育成できる重要なものです。今回紹介した内容に注意しながら、コンピテンシーを活用してみてはいかがですか。