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2021/12/20

自己投資の必要性 ~社会に価値を生み出し続けるために

1.はじめに

コロナ禍になって生活スタイルもビジネスのやり方も大きく変わった企業が多いと思います。ANAやJALの社員の皆さんが他産業へ出向しているというニュースもありますが、こういった変化の時代には社員自身も新しい変化を受け入れ、新しいスキルを身に付けていく心構えが重要です。今までのようにOJTで経験してきたことだけで一生食べていける、という時代でないのは明らかであって、学び直しをいかに出来るか、今まで学んだことをいかにリセットできるかが重要になっていると言えるでしょう。

今回は学び直しも含め、いつになっても自己投資が重要だということを改めて考えたいと思います。

2.社会に出てから学ばない日本人と「働き者の木こり」

OECDは以前からリカレント教育というものを推進していますが、皆さんご存じでしょうか?

リカレント教育とは、「就職してからも、生涯にわたって教育と他の諸活動(労働や余暇など)を交互に行なう」といった考え方で、リカレント(recurrent)というのは「再発する」あるいは「周期的に起こる」といった意味になります。

このリカレント教育について、日本はOECDの中でも学び直しが極めて少ないことで有名です。日本の大学の学部入学者のうち、25歳以上の人の割合は2.4%(2017年)しかなく、要するに殆どのの人は一度大学を出てしまうと体系的な学び直しを行わないということです(なお、OECDの平均は16.6%)。実際、皆さんの周りを見渡してもいかがでしょう?学び直しをしっかりと行っているという人はたくさんいるでしょうか。

「いやいや、学びたいとは思っているけど」という声も聞かれそうです。

ただ、実際に何を勉強したいかといえば、英語などの語学や財務などのビジネススキルといったものが多く、今の時代に必要になるものを主体的に探しているという印象は受けません。漫然と「何か学びたい」というのと、主体的に今の時代に価値ある人間になるためにどうしたらよいのかというのでは大きくスタンスが違うものです。

スティーブン・コヴィーの『7つの習慣』という本があります。そこの第7の習慣「刃を研ぐ」という章の冒頭に「木こり」の話が出てきます。以下に引用してみましょう。

森の中で、必死で木を切り倒そうとしている人に出会ったとしよう。
「何をしているんです?」とあなたは聞く。
すると男は投げやりに答える。「見ればわかるだろう。この木を切っているんだ」
「疲れているみたいですね。いつからやっているんですか?」あなたは大声で尋ねる。
「もう五時間だ。くたくただよ。大変な仕事だ」
「それなら、少し休んで、ノコギリの刃を研いだらどうです?そうすれば、もっとはかどりますよ」とあなたは助言する。すると男は吐き出すように言う。

「切るのに忙しくて、刃を研ぐ時間なんかあるもんか!」

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(スティーブン・R・コヴィー (著), フランクリン・コヴィー・ジャパン (翻訳)
『完訳 7つの習慣 人格主義の回復: Powerful Lessons in Personal Change』(2013):p.424)

さて、皆さんはこの木こりをバカな木こりだと思うでしょうか。


この木こりは私たちの多くと同じなのです。私たちは分かってはいるけれど、自分の刃を磨くこともせず、効率の悪いノコギリで木を切り続けています。これには色々な理由があるでしょう。とにかく木を切り続けた方が仕事をしている気になって安心なのかもしれません。あるいは、どんな刃を磨いたら良いのか分からないのかもしれません(管理職に上ったのに現場のスキルを磨いても見当違いかもしれません)。そうこうしているうちに、別の人がやってきてチェーンソーでバタバタと木を切り倒して、トラックに積んで持っていってしまうかもしれないのです。


3.変化の時代に自分を見つめ直す

ダニエル・ピンクの『ハイ・コンセプト』という本には、次のような質問が書かれています。

  • この仕事は、他の国ならもっと安くやれるだろうか?
  • この仕事は、コンピュータならもっと速くやれるだろうか?
  • 自分が提供しているものは、豊かな時代の非物資的で超越した欲望を満足させられるだろうか?
  • (ダニエル・ピンク(著)/大前研一(翻訳)『ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代』(2006)p.346)

この本は2005年に書かれた本なので、もう20年近く前の問いかけですが、今の言い方でいえば、「あなたの仕事はアウトソースの対象になりませんか?」「AIにとってかわられませんか?」「ジェネレーションZなどの若者の価値観を満たすものを提供していますか?」といった風になるでしょう。皆さん、いかがでしょうか。

実際、10年ほど前にiPhoneが登場し、スマホやタブレットが世界中にいきわたっています。SNSが登場してFacebookやInstagramでの広告も普通になってきました。では、TickTockは?Snapchatは?SlackやZoomはどうでしょうか。そういったものを使わずにマーケティングが出来るのか、営業ができるのか、言わずもがな答えは「No」でしょう。

自動化が進み、新しいツールがどんどん出てくる時代、それに追いついていくことも大切ですが、より本質的には「あなたでなければいけない理由は何か」ということです。今の時代に価値を提供できる何を、あなたは持っているのでしょうか、と聞かれて、何と答えられるのかが問題になっているのです。

人間というのは現状維持がよいというバイアスがありますから、変化することに恐怖や不安を覚えるものです。しかし、ダーウィンが言うまでもなく、「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。唯一、生き残るのは変化できる者」なのでしょう。時代の変化が早ければ、それに伴って自分の変化も早めなければいけません。どのように過去の自分をアップデートし、成功体験を捨て去り、そして新しい自分の武器を身に付けるのか、そういう態度が皆に求められているのです。

4.攻めの自己投資が必要だ

社会人になって驚くことは、今まで学校では「周りと同じ人間になれ」と言われてきたのに、突然「周りと違う人間になれ」と言われることです(「あなたの価値」を問われる)。

ですので、社会人になってからこそ、何でもよいので自分に投資するのだという攻めの心構えが一層必要です。人と違う自分になるために今、自分は何をするのか。会社に所属していれば定年までつつがなく暮らせるという時代は過ぎ去りました。これほど変化に富んだ時代であれば、少なくとも10年に1回は体系的に今の時代に求められている価値観やスキル、あるいは世界の現状認識といった学び直しは必須と言えるでしょう。大学でなくてもよいので、ぜひ時間を作って自分で実践していく必要があります。いつからでも遅いということはありませんので、今気付いた段階で始めるとよいでしょう。

ここで、全員に共通するであろう「情報収集」に関する考え方を記載しておきます。

(1)メディアを変える

同じメディアを使っていると考え方も似たようなものになっていくものです。最近は新聞を読むという人も減ってきましたが、自分が情報収集するメディアを変え、また増やしてみましょう。ネットニュースや新聞だけでなく、著名なアナリストのメルマガやオーディオCD、講演会や業界雑誌、論文や統計、あるいはSNSなど、様々な媒体があるはずです。外国語が得意な方は海外の新聞なども参考になるでしょう。量を追う必要はありませんので、人と違うインプットを心がけるだけで、新しい発想に近づけるはずです。

(2)高質な原体験を増やす

インターネット全盛の時代、ネット情報だけでは他人と差別化できません。ネット時代だからこそ、自分だけの1次情報、高質な原体験を増やす努力をしておきましょう。一流の人に会う、一流のモノを見る、一流のものを食べる、など何でもよいですが、体験して雰囲気を体感することに勝るものはありません。自転車の乗り方を本で分かった気になっても、一度乗ってみる体験にはかなわないのです。自分の体験を増やすことで、人生そのものも豊かになっていくでしょう。

(3)情報の量より考える量を増やす

一昔前の情報がなかった時代ならいざ知らず、今の時代に「これを知っている」ということには殆ど価値はありません。調べれば済むことに価値はなく、そこから何を考えたのかというところにその人の価値が生まれると思った方がよいでしょう。情報の量を追うことで疲れてしまって何も考えられなくなるよりは、少しの情報でよいので、そこから深く物事を考えられる人の方が価値を生んでいくものです。情報に読まされるのではなく、情報を読み込んでいく意識を持ちましょう。

自分の人生を豊かにするためにも、意識して毎日の時間を使っていってほしいと思います。

5.最後に ~青春とは心の若さをいう

サミュエル・ウルマンの詩に「青春」というものがあります。パナソニックの創業者である松下幸之助も、その詩に影響を受けてか、次のような言葉を残しています。

青春とは心の若さである。
信念と希望にあふれ、勇気にみちて、
日に新たな活動を続けるかぎり、
青春は永遠にその人のものである。

変化し続けるところに若さと成長があります。そして変化には努力が伴い、過去を脱ぎ捨て新しいものを受け入れる勇気が必要です。
自己投資というとき、単なる勉強ではなく、こうした気持ちで向き合えば、とてもワクワクしていけるのではないでしょうか。

ぜひ主体的に自分の人生を切り拓き、社会に価値を産む人間になっていきましょう。

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