コラム

IT人材はなぜ不足する?原因と今後必要とされる対策を解説

様々な職業で人材不足と言われていますが、特に深刻と言われているのがIT業界です。IT業界は華やかで人気のある職業のようなイメージがありますが、経済産業省によると2020年には約4.8万人が不足すると予想が出ています。インターネットが中心の社会にも関わらず、IT業界での人材不足は日本の経済にとって待ったなしの問題となっています。IT業界で何故、人材がここまで不足しているのか原因を知り、IT人材不足をどう改善すれば良いのか、詳しく解説していきます。

今後も拡大するIT人材不足〜どの分野が最も足りなくなる?

既に人材不足が深刻と言われているIT業界ですが、経済産業省によると、2018年には既に約3.2万人が不足しており、2020年には4.8万人が不足すると予測されています。中でも最も足りなくなる分野が「AI」「lot」「ビッグデータ」「ロボット」などの「先進IT技術」と呼ばれている分野で顕著になると見込まれています。

その次に、「情報セキュリティ」「クラウドコンピューター」「デジタルビジネス」が今後不足すると見込まれている分野です。

IT人材の不足が拡大していく原因は?

IT業界の人材不足が何故ここまで拡大したのか、その原因はいくつかあります。人手不足の対策を行うためにも、まずは不足が拡大していく原因を知りましょう。

人口減少による不足

日本は少子化のため人口が減少傾向にあります。、労働人口の減少から、業務効率化のためにIT需要は拡大すると見込まれており、IT人材不足がますます深刻化すると予測しています。ソーシャルネットワーク、ゲーム、IoTのみならず一般企業までもIT技術者が必要です。

最先端技術のアップデートの速さ

IT業界は常に技術の進化が行われています。システムを開発するスキルは常に更新が必要です。したがってエンジニアを抱える企業では勉強会や、エンジニアが集まるセミナーなどが行われ技術を学んでいます。

しかし技術のアップデートが激しくなっており、そのスピードはどんどん増しています。技術を習得しても、またすぐに最先端の技術が登場するので、エンジニアたちはそれに付いていけなくなり、結果的に人材が不足する事態を引き起こしています。

エンジニア職へのネガティブイメージ

IT企業の社員やエンジニアというと「かっこいい」「高収入」といったイメージがありますが、それは内情を知らない一般の人からの目線です。しかし内情を知っている場合、エンジニアというと「きつい」「厳しい」「帰れない」などといったネガティブイメージがあります。

エンジニアに興味があっても、良い噂を聞かなければなかなか踏み込めないものです。納期短縮やコスト削減、システム障害が発生すれば徹夜になることもあります。そういったイメージが、IT業界に根付いてしまったと思われます。

ITエンジニアの年収の低さ

IT業界は華やかで給料もそれなりに高いイメージがありますが、実際は激務の割に給料が安いと言われ、エンジニアに憧れる人が少なくなったとも言えます。それでも楽天、サイバーエージェント、DeNAなど大手IT企業では1,000万に近い年収を20代から得るケースもあります。また日本のエンジニアが得ている報酬はアメリカのIT技術者と比べても少ないと言われています。

激務な上に給料が見合っていないと感じているエンジニアが多ければ、エンジニア職のイメージがネガティブになってしまうのは仕方がないでしょう。ただし最近では、エンジニア不足の背景には激務とも言える労働環境があると理解し、少しずつではありますが改善を目指す企業も増えてきています。

IT人材不足の現状をどう解決すべきか?

人材不足を解決するための喫緊の課題として「IT人材の育成」があります。IT企業によってはアフターファイブの勉強会や親睦会があります。また熟練のエンジニアがコーチとなって、エンジニアを教育しアドバイスを与えるなどの形態を作ることで、若い世代のエンジニアは安心してプロジェクトに取り組めるようになるでしょう。

また上記でご紹介した通りIT人材不足の根底にはきつい、帰れないといった激務に加えてさらに給料が安いといったネガティブ要素があります。このことが、「IT業界で挑戦してみたい」と考える若手の壁となり、現在従事しているIT人材の離職率増加を招いているのです。そのため働く環境が改善されることで、みんなが憧れる職業へと変えることができます。

フリーランスやノマドといった新しい働き方

IT技術者の年収がアメリカのエンジニアと比べて安くなってしまう理由には、日本のITビジネスモデルに要因があります。仕組み的にどうしても2次受け、3次受けと業務が発注されることで利益が安く、エンジニアの年収が安くなる傾向があります。

海外ではそういったケースを回避するために、フリーランスやノマドなど自立した働き方を選ぶエンジニアも多くいます。

培ってきた技術やノウハウなどをしっかりアピールし、企業もその人材に適した報酬を支払っています。そのため、フリーランスとして独立しても、高い品質を維持し生産性を上げることが可能なのです。

まとめ

IT業界が進歩する上で、IT人材の育成に取り組むことは経営戦略を考える上で重要と言えます。ITの最先端技術のアップデートはどんどん早まっています。エンジニアの勉強会やセミナーなど情報を共有する場を積極的に設けることで、お互いの不安を少しずつ取り除いていくことが大切だと考えられます。またその人材に似合った給与や長時間労働が続かないよう労働環境の改善が、離職者を減らし、IT業界に憧れる若い人材を増やす要因にもなります。まずは、働きやすい環境作りを行いましょう。