コラム

「中堅社員」に求められる役割|中核を担う社員に必要な教育とは?

「ヒト・モノ・カネ」は経営資源の基本です。特に「ヒト」は人的資源と呼ばれ、企業に勤める従業員を指します。さらに、この従業員の大半を占めているのは「中堅社員」と呼ばれる人材です。多くのビジネスマンが該当するポジションですが、改めて「中堅社員」の役割について考えたことはあるでしょうか。世界的なイノベーションを起こし、ビジネスで成功をおさめている数々のトップ企業には必ず有能な中堅社員が揃っています。近年、企業が勝ち残るための差別化戦略の一つとして中堅社員への教育が注目されています。

中堅社員に求められる役割とは

中堅社員の定義は、企業の組織規模にもよって異なりますが、一般的には「管理職についていない中間層の社員」を指します。どの企業においても共通していえることは、下記の3つの役割を期待されています。

  • 現場の主戦力となる「プレイヤー」としての役割
  • チームやプロジェクトメンバーに働きかける「リーダー」としての役割
  • 後輩や新人を育成する「トレーナー」としての役割

中堅社員になると、若手とは異なり、基本的に担当している業務は一人で完遂することができます。業務に関してはある程度自律的な判断ができるため、効率的に仕事を回すことができます。そのため、難度の高い業務内容を任されるようになったり、チーム単位で取り組むような大型案件にアサインされたり、またその中心的人物になることを期待されます。さらに、部署に配属されたばかりの新人や後輩社員に基本的な業務のやり方を指導するよう頼まれるのも中堅社員です。まさに、中堅社員とは、社内のあらゆるタスクを行えて、現場力を下支えする人材といえます。

中堅社員の課題〜育たない理由は?

しかし、実際のところ期待される役割を果たせていない中堅社員も多いはずです。
「周りに意識を向けるといっても、明確なポジションが与えられておらず、自分がどんな役割を求められているか分からない」「プロジェクトのリーダーを任されたが、自分がリーダーシップを取れているのか不安だ」「OJTで後輩に指導していても、自分の意図がうまく伝らない」といった悩みを抱えているようです。

こうした課題の多くには、中堅社員が自身の経験値を蓄積して、トライ・アンド・エラーで取り組んでいくには限界があることが理由としてあげられます。担当案件や領域において、個人業績を積んでいくことが求められる環境ではプレイヤーである時間が必然的に長くなります。そのため日々の業務に忙殺されるあまりに、後輩を十分にフォローアップできなかったり、チームのメンバーに任せるよりも自分でやってしまう方を選んだりしがちです。多くの企業で、中堅社員が成長するための教育や研修が十分に用意されておらず、個人の課題意識や技量に任せきりになっているのが実情なのです。



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組織力の強化!中堅社員にとって必要な教育とは?

前述したように中堅社員は、従業員のマジョリティを占めます。そのマジョリティの成長が鈍化すれば、組織全体のパフォーマンスが低下するのは明らかです。反対に、持続的に成長し続けている中堅層の多い組織は新たな企業価値を生み出し、ビジネスで成功をおさめています。したがって、いかに中堅社員の意欲を高め、成長を促進させることができるかが組織力の強化において重要な鍵を握っているのです。

また、中堅社員の落とし穴としてあげられるのは、モチベーション維持の問題です。長年、業務経験を積むなかで日々のルーティンワークにマンネリを感じたり、いまの自分の業務が将来のキャリアプランにどう活かせるのか想像できずに不満を抱えている場合もあります。また、いまの仕事で得られるスキルの頭打ち感があると、やる気が低下したり、転職を考えたりもします。有能な人材であるほど、常にこの会社にいるメリットは何か?という天秤にかけているのです。

こうした中堅社員特有の病に対しては、モチベーションアップの研修や教育支援プログラムの実施が効果的です。実際、個人が自主的に会得するスキルだけでは全体の成長機会が限定的なものになりますが、企業が戦略的に用意した教育プログラムであれば、中堅社員の教育レベルが一定の水準に達しやすくなります。

中堅社員が、自身に課せられた重要な役割を果たすために、リーダーシップやコーチングスキルを十分に身につけ、チームワークを向上させることができれば、いかなる困難な状況においても、課題を解決し、成果をあげることのできる強靭な組織が生まれます。 また、こうした有望な中堅社員が先導する組織は次第にボトムアップ型の組織構造に変化していきます。顧客目線に立った素晴らしいサービスを提案したり、現場で抱えている問題点を自らで改善することのできる自浄作用が働いたりします。こうした好循環を生み出せる組織力は、ビジネスにおいて大きな武器となりえます。

まとめ

現場を支えてきた中堅社員の存在は、企業にとって非常に重要な経営資産といえます。にもかかわらず、新人教育に比べると、中堅社員の教育は軽視されてきました。
今日、ITの進展やグローバル化によって市場競争はさらに激化しています。そのなかで競争戦略の差別化を図ることは難しくなりつつあるのです。ビジネスの勝敗については、もはや戦略の問題ではありません。戦略を実行するオペレーションが決め手となっているのです。このオペレーションを支える「中堅社員」の能力開発を行うことが重要です。企業の将来性にとって、有能な中堅社員に支えられた独自の組織力は必ず競合他社に真似できない強みとなるでしょう。