コラム

リーダー育成に必須!「自己認識力」を高めるためのトレーニング方法

自己認識力が高いリーダーは、部下とのコミュニケーションが良好で判断力もあり業績も高い傾向にあります。つまり、自己認識力は、リーダーにとって欠かすことのできない力なのです。では、では自己認識力とはどのようなもので、どのように伸ばせばいいのでしょうか。

有能なリーダーに必要な「自己認識力」の重要性とは?

最近マネジメント分野でよく耳にするようになった用語に、自己認識(self-awareness)という言葉があります。心理学の用語の一つでもあり「自己の内面世界(思考と感情)を観察すること」「一時的に自己を強く意識している状態」「自身が見る自分と、他者が見る自分がどれほど違うかを自覚していること」など、研究者の間で様々な定義が存在します。
ここでは「自己認識」を「“自身が認識する”自分と“他者が認識する”自分を知ること」と定義づけされた用語として解説します。

自己認識力が高い人はそうでない人に比べ、同僚との人間関係やコミュニケーション能力、判断力に優れており、また人に嘘をついたりだましたりすることが少なく、仕事で高い成果を出す傾向が強いという研究結果も報告されています。

これらの研究結果をもとに考えると、自己認識力の高さとリーダーとしての能力の高さには相関関係があると見てとれます。
仕事のパフォーマンスに好影響をもたらす訳ですから、ぜひとも企業のリーダークラス、または今後リーダーを志している方は正しく抑えておきたいところです。

では、リーダーに必要な要素である自己認識力について、より深掘りしていきましょう。

自己認識には内面的・外面的の2種類がある

自己認識力は「内面的自己認識」と「外面的自己認識」の2つに分類することができます。
内面的自己認識とは、「自分自身への願望・情熱・価値観・反応・他者への影響力・環境への適合」について、自分がどれだけ正しく認識できているかを指します。

一方、外面的自己認識とは、自分がどのような人物であるか、第三者の視点に立って物事を考えることができる能力、または第三者に対する共感力を指します。これらの内面的・外面的自己認識力の高さは互いに連動しているわけではなく、一方が高く一方が低い人もいれば、両方ともに高い人もいたりと、さまざまです。自己のコントロール、幸福感、人間関係や仕事への満足度とは、正の相関関係があるといわれており、逆に憂鬱やストレス、不安とは負の相関関係があるとされていますが、企業内で高い業績を上げている有能なリーダーほど、内面的・外面的自己認識の両方を兼ねそろえている報告されています。
それでは、具体的にどのようなトレーニングによって自己認識力を高めることができるのでしょうか。

自己認識を高めるためのトレーニング方法3選

人はどれだけまっすぐ物事を認識しようとしても、自分の過去の経験や記憶を通し歪めて捉えることがあります。

正しく自己認識するのは難しいことではありますが、その一助となり得るトレーニング方法を以下に3つご紹介いたします。


■ダブルループ学習を行う

ダブルループ学習とは、過去に自分が行ったあらゆるアプローチに様々な視点から疑問を投げかける学習法です。新しい発想を生み出すために、自分で立てた計画自体も、一度疑いの目で見てみようとするわけです。 このトレーニングにより、自身の偏見や思い込みを明らかにすることができます。

■愛のある批評家を作る

リーダーの多くは役職が上がるにつれ、周囲のフィードバックに耳を貸さなくなってしまいがちです。
裸の王様になるのを避けるため、愛情をもって忌憚のないフィードバックを行ってくれる人の声に耳を傾けましょう。自分の良かった行いや良くなかった点を知ることは外面的自己認識力を高めるために役立ちます。ただし、フィードバックしてくれる側にも洞察力がないと意味のないものになってしまいます。

■内省は「なぜ?」ではなく「何を?」を考える

自己認識で内省を行う場合、「なぜ?」ではなく「何を?」を考えるようにしましょう。
自己分析は深くではなく、広く行うのがよいとされています。あまりにも一つのことに対して思いつめるような自己分析や内省は気持ちを滅入らせるからです。
あくまでも自分が楽しかったり、やりがいを感じたりしたパターンを見つけましょう。
そして、自分が「何をすればいいのか?」を考えることで、自責的なマイナス思考に陥ることを防ぎ、自己認識に客観性が生まれ未来志向の行動に繋がります。

まとめ

私たちが自分自身に対して、正しい自己認識を行うことは容易なことではありません。多くの人が自身をより楽観的または悲観的にバイアスのかかった捉え方をしがちです。
しかし、自己認識の高さは、仕事のパフォーマンスに関係することが分かっています。自己認識を内面的自己認識・外面的自己認識どちらにも偏らせず、自責的なマイナス思考に陥らないよう意識すると、正しい自己認識が可能になるでしょう。